「歯周病があるから矯正は無理かも」と諦めていませんか。歯ぐきの状態を気にして、矯正相談そのものを避けてしまう方は少なくありません。しかし、矯正治療の適応を決めるのは年齢そのものではなく、歯を支えている歯周組織の状態です。まずは年齢制限の考え方と、歯周病がある場合にどのような基準で診断されるのかを整理していきます。
大人の矯正に年齢の上限はなく歯周組織の状態で判断します
結論として、矯正治療に厳密な年齢の上限は設けられていません。判断の軸になるのは、歯や歯を支える歯周組織が健康な状態にあるかどうかです。
東北大学の情報でも「何歳になっても治療は可能」とされています
全身的な病気がなく、歯や歯を支える歯周組織が健康であれば、何歳になっても治療は可能です[2]。年齢そのものが治療を断る理由にはならないという点は、大人の矯正を検討するうえでまず知っておきたい前提です。
東京医科歯科大学(Science Tokyo)も個人差を重視しています
悪い歯ならびやかみ合わせの状態は人によって異なるため、適正な治療開始時期も異なります[3]。年齢だけで判断するのではなく、歯並びの状態や歯周組織の個人差を踏まえて相談することが推奨されています。
当院では矯正専門指導医の基準で年齢を理由に断らない方針です
当院は新心会グループの矯正専門指導医・横川早苗の指導体制のもと、年齢だけで矯正治療の可否を判断しない方針を取っています。目黒駅から徒歩1分という立地もあり、平日はお仕事帰りの19:30まで、土曜も診療しているため、社会人の方でも通いやすい環境で相談いただけます。
歯周病があると矯正できないと言われるのは歯槽骨が弱っているためです

歯周病があると矯正が難しいと言われる理由は、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)が炎症によってすでに弱っている場合があるためです。歯周病が未治療のまま矯正力をかけると、歯の動揺や歯ぐきの後退が進みやすくなる懸念があります。
45歳以上では歯周ポケットのある人が半数を超えるというデータがあります
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、歯周ポケット(4mm以上)の保有者の割合は高齢者層で高値を示し、45歳以上で過半数を占めています[1]。成人期以降に矯正を検討する場合、歯周組織の状態を確認する重要性が高いことがこのデータからも分かります。
歯槽骨が弱った状態で力をかけると歯の動揺が進みやすくなります
歯周病によって歯槽骨が減っている歯に矯正力をかけると、通常よりも歯が大きく動いたり、揺れが強く出たりすることがあります。そのため歯周病が疑われる場合は、矯正を始める前に炎症の有無と骨の状態を確認する診査が欠かせません。
当院はCTによる立体的な診断で歯槽骨の状態を確認しています
当院では3次元立体撮影が可能な歯科用CTを導入しており、歯を支える骨の量や形を立体的に確認したうえで矯正の適応を判断しています。目視だけでは分かりにくい骨の吸収状態も、CT画像で把握できる点が精密な診断計画に役立っています。
矯正専門指導医は歯周ポケットの深さと骨の量を基準に診断します

歯周病があっても、必ず矯正治療ができないわけではありません。矯正専門指導医が確認するのは、歯周ポケットの深さ・出血の有無・歯槽骨の残存量といった、歯周組織の具体的な状態です。
歯周基本治療で炎症が治まっているかを確認します
日本歯科医学会の資料では、原因除去療法を主体とした歯周基本治療によって、歯肉炎や歯周炎の進行が停止し、歯周組織は健康を回復するとされています[5]。矯正を始める前段階として、歯石除去やブラッシング指導によってこの「炎症が落ち着いた状態」を作ることが基準の一つになります。
歯周病治療後であれば矯正期間に大きな差が出ないという報告もあります
J-STAGEに掲載された日本歯周病学会会誌の研究では、歯周組織再生療法と外科的な矯正治療を組み合わせた症例において、矯正歯科治療の動的期間は歯周炎患者と健常者群間で有意差はなく,通常の約1/2の治療期間で終了したと報告されています[4]。専門的な管理のもとで進めれば、歯周病があることが必ずしも治療期間の大幅な延長につながるわけではないことを示す一例です。
当院はマイクロスコープとiTero・TRIOSで診断精度を高めています
当院では最大20倍以上に拡大できるマイクロスコープ、口腔内スキャナーのiTeroとTRIOSを活用し、歯周組織の状態と歯並びのシミュレーションを組み合わせて診断しています。根管治療指導医の佐久間利喜によるバックアップ体制もあり、歯周病治療と矯正の両面から診断できる点が特徴です。
歯周病治療を先に終えてから矯正を始めると再発リスクを抑えやすい
歯周病がある場合は、矯正治療そのものを諦める必要はありませんが、多くのケースで歯周基本治療を先行させてから矯正計画を立てます。順序を守ることで、治療中の歯ぐきの炎症再発を抑えやすくなります。
歯石除去とブラッシング指導でポケットを浅くしてから相談します
歯周ポケットが深い状態のまま矯正装置を装着すると、清掃がしにくくなり炎症が悪化しやすくなります。当院ではエアフロー(微粒子パウダーによる歯面・歯周ポケット洗浄機器)を用いた低侵襲なクリーニングも取り入れ、矯正前の口腔内環境を整えています。
マウスピース矯正は清掃性の面で選択肢の一つになります
歯周病の既往がある方の場合、取り外して清掃できるマウスピース型の矯正装置(インビザライン)が選択肢として検討されることがあります。ワイヤー矯正と比べてブラッシングのしやすさに違いがあるため、どちらが向いているかは歯周組織の状態を踏まえて相談することが大切です。
治療方針に迷う場合はセカンドオピニオンも活用できます
歯周病があると告げられて矯正を迷っている方に向けて、当院ではセカンドオピニオンにも対応しています。選択肢とそれぞれのリスクを説明し、抜歯を伴う場合・伴わない場合など複数の可能性を一緒に検討します。
まとめ
- 矯正治療に厳密な年齢の上限はなく、歯や歯を支える歯周組織が健康であれば、何歳になっても治療は可能です。
- 歯周ポケット(4mm以上)の保有者の割合は高齢者層で高値を示し、45歳以上で過半数を占めています。成人期以降は歯周組織の確認がより重要になります。
- 歯周病があっても、歯周基本治療で炎症を落ち着かせたうえで矯正計画を立てることが一般的な進め方です。
- 研究報告では、矯正歯科治療の動的期間は歯周炎患者と健常者群間で有意差はなく、専門的な管理下であれば治療期間が大きく変わらない例もあります。
- 当院ではCT・マイクロスコープ・iTero・TRIOSを活用し、矯正専門指導医の基準に基づいて歯周組織の状態から診断しています。
歯周病の状態が気になる方は、まず自己判断で矯正を諦めず、専門指導医による診断を受けてみることをお勧めします。目黒I’s歯科・矯正歯科は目黒駅から徒歩1分、平日19:30まで・土曜も診療しており、CTやマイクロスコープを用いた診査で歯周組織の状態を確認したうえで、矯正治療の可否や選択肢を丁寧にご説明します。ご相談の流れは初めての方へ(初診の流れ)をご覧ください。お電話(03-3441-7800)でも受け付けています。
参考文献
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の有病状況」kennet.mhlw.go.jp
[2] 東北大学医療系メディア〈LIFE〉「歯科矯正治療の開始時期」life.med.tohoku.ac.jp
[3] Science Tokyo(東京医科歯科大学)「矯正治療Q&A」tmd.ac.jp
[4] J-STAGE 日本歯周病学会会誌「歯周炎患者に対する歯周組織再生療法と加速矯正治療の併用療法の有用性」jstage.jst.go.jp
[5] 日本歯科医学会「歯周病の治療に関する基本的な考え方」jads.jp
